トランプ当選の本当の意味

 

 

                                                            宋 文洲

トランプが勝つのか、ヒラリーが勝つのか、私には分かりませんでしたが、
私が米国人ならばトランプに投票したに違いありません。6か月前、私は宋メールで
トランプ氏が当選すべきだと書きましたが、今読んでも当時の内容を変更する
必要は全くありません。トランプが勝った後に「俺も思いました」と見苦しい
言い訳をする専門家が多い中、半年前の宋メールをぜひ皆さん読んでみてください。

「トランプは既に勝った」
http://r31.smp.ne.jp/u/No/2840289/fBxqakI6DacD_205689/840289_161111001.html

 

当時、一部の読者は「宋さんは中国人だから米国と日本に不利な結果を望んで
いるだけ」と批判がありましたが、正直、自分の願望で推測するとだいたい
外れます。私は投資をする際、自分の都合で予想すると負けて損してしまうので
そんな馬鹿なことをしません。予想の精度を上げるため、客観的に相手の立場を
理解し、相手の生活環境に触れた上、相手の心情を想像する努力をしているからです。


今回、安倍総理はまた改めて思い込みの激しい人だとばれました。9月の時点で
ヒラリーに会い、敢えてトランプもヒラリーも反対のTPPの必要性を強調しました。
これは明らかにヒラリーに以心伝心のつもりでメッセージを送っています:
「あなたは本心ではTPP賛成だと分かっていますよ。今選挙中で本音が言えない
でしょうが、その代わりに私が多くの国民の反対を押し切ってリードして
承認させますから大統領になったら恩義を忘れないでくださいね。」


投票日5日前の3日に、首相官邸が共同通信に「2月にもクリントン大統領と
首脳会談を検討」と発表させたほどの自信ぶりです。安倍総理にしてみれば
ヒラリーが勝つに違いない、マスコミや議会を動員すれば反対を簡単に封じ込めます。
いったん決めてしまえば国民はすぐ忘れるから自分の思い込みでどんどん
進めればいいのでしょう。


主観と思い込みで市場と世界を予測し、それに基づいて政策を立案し、情勢が
変化しても修正しない安倍総理の姿勢はまさに戦前の陸軍組織のくせです。
勝手に決めた2%のインフレ率は、5回延期してもまだ誤りを認めず、政策の
見直しもしません。外交上の思い込みによる損害もどんどん拡大しているのですが、
将来にわたって認めることはないでしょう。


ソビエトという脅威が崩壊後、「勝った!」と成り上がった米国のエリート達が
民主主義をペットのように飼い始めました。米国型の民主主義をまるで永久不滅の
魔法のようにかざし自国民を洗脳し、他国民を威圧してきました。フィリピン
大統領が言っていることに多くのフィリピン国民が共鳴したように、トランプが
言っていることに多くの米国人が共鳴したのです。国民大半数の選択を
「トランプ