大型工作機械

OKK上海  導入事例

大阪機工(上海)商貿有限公司(OKK上海) 様

 

顧客のターゲッティングと活動評価をeSMで一元管理

 

創業100年近くになる工作機械大手の大阪機工株式会社(OKK)は、1995年に天津に繊維機械製造拠点を設立する。


04年に上海に分公司を開設してマシニングセンタなど工作機械の販売を開始。06年には大阪机工(上海)商貿有限公司(OKK上海)を設立し、中国市場での販売を加速させる。

 

競合の多い業界だが、「高剛性重切削」を特徴とする同社の製品は、鉄など剛性の高い金属を長時間削り続けなければならない過酷な環境において、より力を発揮する。ユーザーは自動車、建設機械、エネルギー関連の業界に多いが、自動車でもガソリンエンジンの場合は、素材がほとんどアルミのため、パワーよりもスピードや価格で製品が選ばれるが、トラックなど大型車両の心臓部であるディーゼルエンジンは、素材が鉄で切削量も多く、同社のような技術力が高くて頑丈な工作機械にしか太刀打ちできない。長年培ってきたものづくりのノウハウが、その機械に凝縮されているのだ。

 

クリーンディーゼルが注目されるなど、ディーゼルエンジンの需要は世界的にも高まっている。引き続きディーゼルエンジン関連でのシェアを伸ばしていくのが、OKK上海の戦略だ。その実行をより確実なものにしようと、同社はeSMの導入を決定した。静隆之総経理に今後への期待について話を聞いた。

 

    

――eSM導入の経緯を教えてください。

 

当社は現在、どんどん人を増やしているところだが、販売部門とアフターサービス部門を合わせても17名。この人数で中国全土をターゲットとしているので、派手に広告を打つよりも、効率よく動くことが重要です。

 

そうするといちばん大事なのは、既存ユーザーに対するきめ細かいサービス。つまりアフターサービスです。故障時の点検や消耗品の交換などがそれですが、ここで売上を上げようというよりは、名前のとおり“アフターサービス”としてやらせていただくのが当社の姿勢。きめ細かなサービスをご提供することで、お客様が生産拡大により設備投資をされる際に、再び当社の製品をご指名いただけると信じています。やがてそれが、新規顧客の獲得へと波及していくはずです。

 

少人数できめ細かい対応をしようとしたら、営業部門とサービス部門が一丸となる必要があります。そこで重要となるのが、「情報の共有」。しかし理屈ではわかっていても、皆自分の仕事に忙殺されていて、他部門どころか同じ部署の人間がやっていることすら把握できていないのが実態です。それを打破しようと、システム導入の検討をはじめました。

 

最初は、これくらいならグループウェアだけで事足りるかと思っていたのですが、我々が管理側として販売戦略を立てたり、立てた戦略の考課査定をしたり、進捗情報の管理までをひとつのシステムでやろうと思った場合、それだけでは限界があるということに気づきました。そんなときに見つけたのが、eSMだったのです。

eMS導入で会議の時間の使い方が変わる

 

――eSMをどのように戦略構築に活かしていくのでしょうか。

 

引き合い案件をA、B、Cと優先順位をつけた場合、Aランクには当然、積極的に接触しますが、いちばんボリュームのあるBランクは、後回しになっていることが多いのが現状です。時間をかけてAランクからようやく受注できたときに、次の準備ができていないから、ブランクが空いてしまう。そうならないためにも、ボリュームゾーンであるBランクをeSMできっちり管理していきたいと思っています。人間の頭だけでは、優先順位が高いものしか考えられないので、限界があります。次の準備のためにも、情報を一元化して管理することが必要です。

 

これまでの会議では、AランクやBランクの今月の受注状況、来月の受注見込みの報告だけで終わっていました。しかし、戦略を練るには実は、その下のCランクや予備軍のほうが重要になります。システムがあれば、受注状況や見込みはあらかじめチェックできるので、会議の時間を戦略の場で使えるようになるのではないかと期待しています。

 

――ほかにeSMに対する期待は?

 

中国に進出した当初は、ゼロからのスタートなので、既成概念なく会社を運営できますが、ある程度実績が上がってくると、日本のシステムを守っていこうという意識が働きます。日本側で決めて、その通りに中国人を動かそうとする。しかし、それによって会社は足踏みし、伸び悩む原因ともなるのです。中国なのだから、当初と同じよう、現地スタッフがどれだけ積極的にやってくれるかが伸びていくためのカギです。究極の目的をいえば、責任感さえ持ってもらえば、全部お任せしたほうがいいはずです。すぐというわけにはいきませんが、彼ら、彼女らだっておカネだけではありません。自分で目標を立て、それをクリアしてステップアップしていくことに対しては、われわれ以上に貪欲です。そういった彼らにシステムを利用してもらうことで、前向きで建設的な方法を考えさせるのは、とても理にかなっていると思います。

 

日本人が管理する側で中国人スタッフが活動する側と分けないで、中国人も個々で組織を管理してやっていく意識を持ってもらいたい。結局は、今いる中国人スタッフにさらにやる気を出してもらい、責任や管理のおもしろさを覚えてもらうのが、いちばんの理想です。

 

 

City bros 2012年5月号掲載
ご所属・お役職はインタビュー当時のものです。