機械・精密部品、自動車部品

イリソ電子工業  導入事例

意力速(上海)貿易有限公司(イリソ電子工業) 様

 

カーAV・カーエレクトロニクスをはじめとする車載市場におけるコネクタ開発のリーディングカンパニーであるイリソ電子工業は、1966年にピンメーカーとして創業以来、40年以上にわたりエレクトロニクス分野の発展とともに歩み続けてきた。特に基盤と基盤とをつなぐBtoBコネクタのバリエーションに強みを持ち、電気保護機能搭載のHDMIコネクタ、MOST準拠の車載LAN用コネクタなど新製品を相次いでリリースしている。

 

車載市場向けが売上の約6割を占めるが、最近では製品開発の裾野を広げ、車載分野で培った技術をFA・OA機器、モバイル・AV機器、ゲーム機器などの民生機器市場にも展開する。

 

早くから海外進出に積極的で、97年に上海で生産を開始すると、00年には販売拠点を設立している。以来、中国での売上は堅調に推移し、香港地区を含めた中華圏での売上は、グループ全体の3割を占める。今年発表された中期計画の目標である、13年3月期での売上高300億円を達成するためにも、重要な市場となっている。

 

   

R&D拠点開設を契機に国内販売を強化

 

近年、中国を市場ととらえる動きが強いが、自動車市場も当然例外ではなく、同社の顧客の多くを占めるティア1(完成品メーカーに部品を供給する企業)でも、日系・欧米メーカー含め、中国にR&D拠点を開設する動きが活発になっている。その需要に合わせ、同社も2年前にR&D施設を開設し、営業マンの増員も図り、中国国内での販売をいっそう強化している。その一環として、同社は「eセールスマネージャー」の導入を決定した。同社の現地法人・意力速(上海)貿易有限公司の千葉総経理に、導入の経緯について話をうかがった。


――「eセールスマネージャー」導入の決め手は何でしょうか。

 

千葉  どこでビジネスが滞留しているのかなかなか見えない、見えたときには手遅れという事例がいくつか見られました。「eセールスマネージャー」は、起こっている問題が見えるツールですので、そうしたロスをいち早く解決できるのではないでしょうか。また、問題を抱えているということは、営業マンが精神的なプレッシャーを感じていると思うので、それを取り除いてあげることで、働く環境もよくなるのではと期待しています。

 

香港地区を含めた中華圏での販売比率がグループ全体の3割を占めていますが、今後その比率を上げるためにも増員をかけている状況です。上海をヘッドクオーターとし、大連、天津、蘇州、深センで合計17名の営業マンを擁していますが、来年には重慶に展開したいと思っています。

 

営業は、数字を追いかけなければなりません。その数字のためには、プロセス管理が非常に大事だと感じています。システムの導入をきっかけに、各プロセスの見える化はもちろん、われわれと中国人営業マンをつなぐコミュニケーションツールとして、または新人が入社したときに、社員教育の一環としても使えると判断しました。

 

――プロセスが見えないことで、どのような問題が起こっていたのでしょうか。

 

千葉  お客様とのやり取りのなかで行き詰まっているケースと、お客様から要求を受けて、日本の設計とのキャッチボールで時間がかかっているケースがあるのですが、いずれにしてもそこで時間をロスし、他社に先を越されたことがありました。営業マンだけでは解決できない問題が見えていなかったのです。

 

「eセールスマネージャー」を導入することで、日々の報告業務が一方通行でなくなり、われわれもそれに対してリアクションができるようになるでしょう。営業マンによって力量は違いますし、性格も違います。一つひとつの商談のプロセスを見ていくと、人によって進め方も違います。その違いを見ていくことで個々の営業マンの比較ができますし、お客様への対応の仕方についても分析ができます。営業マンの特性が見えてくるのではないでしょうか。

 

――ほかには「eセールスマネージャー」にどんな期待をしていますか。

 

千葉  どういう営業をしているかが見えるので、訪問先がどこかもわかります。ある部署に偏っている営業マンもいるでしょう。たとえば、A君は設計者だけを訪問している、といった様にです。キーとなるのは設計ですが、他部署に行ったほうが受注スピードが早まったり、商談がスムーズに進むということがあります。一人ひとりの行動を分析することで、「生産技術や現場にも行きなさい」などとアドバイスすることができます。こうしたことは、若い営業マンにはなかなかわからない部分ですが、一度成功体験ができれば、モチベーションアップにもつながります。

 

――今後の展開をお聞かせください。

 

千葉  中国マーケットに向けて、市場に合った商品を中国国内で開発し、つくって売るというスキームを確立したいです。現状、中国でのスペック・イン(デザイン・設計上で特定の製品の仕様をあらかじめ落とし込むこと)率は2割ですが、3〜5年で5割にまで引き上げたいと思っています。そのためには、われわれ販売部隊が先頭に立って引っ張っていかなければなりません。

 

ターゲットは、自動車をメインとしながらも、モバイルやゲームなどのデジタル機器市場、LED、電力メーター、スマートグリッドなどの環境関連市場にも注力していきたいと思っています。ますます人が増えていくなか、コミュニケーションがいちばん大事だと思っているので、「eセールスマネージャー」で双方向のコミュニケーションを活性化させ、数字を上げていきたいですね。

 

   

 

City bros 2010年12月号掲載
ご所属・お役職はインタビュー当時のものです。

 

               戻る