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日立製作所の現地法人、日立信息系統(上海)有限公司が、汎用性のあるITサービスを提供し、中国系企業の取り込みを図っている。売掛金回収リスクもある中国市場の開拓には、顧客情報の効率的な管理が極めて重要になる。そこで導入したのが、軟脳軟件(北京)有限公司の提供する営業支援システム「eセールスマネージャー(eセールス)」だ。
日立信息系統(上海)が製品の販売から〝ソリューション〞の提供、さらには〝サービス〞の提供へと事業の幅を広げている。「日立」のネームバリューで大手企業を獲得し、顧客企業に合ったソリューションを個別の〝ものづくり〞で提供する一方、資産管理システム「JP1」などをサービス提供することも検討している。
同社が〝サービス〞を強化するのは、中国系企業に食い込むためだ。ターゲットとなる企業はその規模や業務内容が多様で、売掛金回収リスクもある。そのため、汎用性のあるサービスを提供し、月額で利用料を受け取るビジネスモデルが有効と判断しているのだ。
このビジネスを進めるためには、顧客情報の管理が一層重要になる。同社がその管理システムとして軟脳軟件のeセールスを選んだのは、マネージャーが案件契約情報を参照しつつ、その場で営業担当に直接指示が出せる点を評価したためだ。同社は北京、広州、深圳に分公司を設けているが、eセールスの導入は、まず拠点横断的に特定の部門で使用し、他の部門へ広げていく方法を取ることで、スムーズに運んだという。
eセールスを導入した最大のメリットとして、同社副総経理兼営業総監の木村勲氏は「業務が定型化でき、属人的な業務を減らせた」ことを挙げる。決められたプロセスに沿って業務を進められるので、営業担当が変わっても業務の質が維持できるだけでなく、新人教育にかかる時間と手間も削減できたという。
また、活動目標を数値化したことで業績が明確になり、営業マンの競争意識を引き出せたという。各拠点間の連携も以前に比べスムーズになった。
マネジメント側のメリットも大きい。統計データを簡単に収集できるようになったほか、誰が管理者になっても同じ管理方法を引き継ぐことが可能になったからだ。
課題は営業マンに案件データをいかにして入力させるかだ。顧客情報の共有を好まない中国人営業マンに対しては、情報を他の営業マンに見せないようにできる参照制限機能を活用しつつ、インセンティブを絡めた工夫が必要と考えている。
今後は、個人評価にもデータを活用していきたいという。営業の売上高だけでなく、契約の規模や利益率なども参照すれば、契約の〝中身〞に応じた評価を下すことが容易になる。
同社は現在、eセールスをビジネスの商材としてシステムインテグレーションし、顧客に提供できるよう検討している。システムの導入、運用と並行し、社内システムを成功事例としてショールーム化することにより、拡販を進めていく考えだ。