電機精密機器

富士フイルム中国 導入事例

富士胶片(中国)投資有限公司
光電産品事業部 様

 

案件の進捗情報を可視化することで
納期管理と販売計画を大幅に改善

 

写真フィルムで培った技術を応用し、液晶ディスプレイの材料や医療医薬、機能性化粧品、メディカルヘルスケア、光学デバイスなど幅広い事業を展開する富士フイルム。その光電デバイスではカメラ用レンズを展開し、テレビカメラや監視カメラ、自動化設備、双眼鏡など、さまざまな分野に製品を供給している。同社現地法人「富士胶片(中国)投資有限公司」の光電産品事業部では、なかでもテレビカメラ用レンズとシネレンズに注力し、中国全土で販売している。

 

    

わずか半年で
納期遅れが改善されるとともに在庫数が激減

 

光電産品事業部が販売しているテレビカメラ用レンズとシネレンズは、日本からの輸入品である。レンズは高額であるうえに種類も多いため、大量の在庫を抱えることは難しい。しかも納期は長く、4~6カ月。受注から納期までの管理が重要になる。eセールスマネージャー(eセールス)を本格的に活用することによって最も明確な変化が表れたのは、その管理だったと西岡俊一光電産品事業部/光電産品市場部部長は指摘する。

 

それまで同事業部では、成約が決まると、営業マンはメールか電話で受発注担当者に手配を依頼していた。ところがeセールスにも入力しているので、作業が重複していた。どちらが相手に伝えた実感が強いかというと、1対1のやり取りであるメールか電話である。ところがその安心感が、ミスを誘発しかねない。メールにはタイムラグがあるし、受信する件数が多いと、埋もれてしまい、見落とす危険性もある。電話は、記録が残らないために後になって、伝えたのかがうやむやになることもある。そうした不完全なコミュニケーションにより、時にはスムーズに発注されないことが起こる。とくに電話の場合は記録が残らないため、たとえトラブルが起こっても責任の所在があいまいになってしまう。

 

そこで西岡氏は、発注の連絡をeセールスに一元化することに決めた。メールや電話はあくまでも補助的な手段であり、eセールスに入力されていない案件は発注を認めないのだ。昨年(2014年)9月にそれをルール化したことにより、受発注がスムーズに処理されるようになった。その効果が目に見える形で表れたのは、在庫の激減だ。必要な製品を必要な時のみ、手配することができるようになったからだ。同事業を展開する他の海外拠点と比べても、中国は極めて在庫が少ないという

 

   

 

今後の課題
フォーカスすべき案件を捉えられるように―

 

中国で光電産品事業部が立ち上げられてから昨年で10年が経つが、その間に売上は10倍になった。直近3年を見ても25%増と、順調に成長してきた。ところが中国経済の減速の影響は、同事業部にも影響を与えている。テレビカメラ用カメラの販売先は、テレビ局や製作会社が主になる。テレビ局の広告収入が落ちているうえに、政府が進める反腐敗政策もあり、買い控えが進んでいるのだ。需要が落ちているなかで、新たな需要を掘り起こすべく、販路はどんどん内陸へと広がっている。

 

同事業部では代理店を使わず、直接訪問にこだわっている。しかし内陸は広く、移動に割かれる時間は大きい。現段階で現地に社員を赴任させるだけの需要はないが、顧客に直接会って商談することを重視している。結果として、営業マンの負担が増えているため、顧客訪問の効率化が急務だ。

 

「訪問してどうだったのか。営業マンがどういうことを思っているのかを可視化していきたいです。顧客情報や案件情報という表面的なものはeセールスにどんどん入れていますが、それは過去の情報。そこから未来を予測し、分析することが難しい。今後はそこを強化したいです」(西岡氏)

 

そのためには、データの取り方を変えていくことも重要になる。

 

「景気が鈍化してくると、これまでと同じ方法でいいと思っている営業マンに限って失注します。プロセスが見えていないんです。しかし、そういう営業マンがさぼっているかというと、そうではない。どこかで課題について触れているのですが、管理者やマネージャーがそこにフォーカスしていないので、対策が取れない。逆に取れそうな案件がフォーカスされているので、違う側面からデータ統計を取っていかなければならないと思っています」(同氏)

 

     

導入当初
目的意識がなければシステムを入れても―

 

光電産品事業部がeセールスを導入したのは3年前。当時は広州にも営業マンがいたので、4拠点の情報を共有化しようというところからはじまった。富士フイルム中国のIT部門からメディカル事業部で利用していると紹介されたのがきっかけだった。しかし、そもそも共有して何をするのかをなかなか打ち出せず、1年くらいはほとんど使っていなかった。西岡氏が北京に駐在しているときに引き継ぎ、目的をはっきりさせることで現在の運用レベルまで推進することができた。

 

「“eセールスマネージャー”という名前は言い得て妙。ここ1年でわかるようになりました。営業スタッフをどうやって“マーネージ”するか。どうやって彼らに利益を配分してあげるかを考えることで、会社にも情報が入ってくるわけです」(西岡氏)

 

これから予実管理や営業マンのアクティビティ評価、顧客ターゲッティングなど次の運用レベルに進もうと検討している同事業部だが、西岡氏は、eセールスの改善にも期待している。

 

  

「わがままを言わせていただくと、インターフェイスが見づらい部分がありますね。システム機能が充実していて引き出しが多くなっていて、それ自体はいいことなのですが、必要な引き出しが開けにくいことがある。欲を言えば、そこが改善されるともっといいですね」(同氏)

  

 

ご所属お役職はインタビュー当時(2015年5月)のものです。