なぜ成功した人に離婚が多いか

 

 

                                                            宋 文洲

成功すれば傲慢になるからです。結婚相手の恩義を忘れるからです。成功者を
誘惑する人が寄って来るからです。より良い相手を見付ける能力を持つからです
以上の答えの中に多分、あなたの思いにぴったりの答えがあると思います。
(ない場合、ぜひブログやfacebookのコメント欄に書いてください)

 

人は成功する前、皆成功していない凡人です。凡人同士が結婚してお互いに
相手の欠点が見えてきます。結婚する前の恋愛感情で盲目になり見えていなかった
欠点が結婚数年後に次第に見えてくるのです。

 

離婚しないのは離婚コストが掛かるからです。もちろんここで言うコストとは
単なる経済的なコストだけではなく、モラル的なコストから育児的なコストまで
或いは世間体的なコストなども含まれています。さらに言うとなかなか今の
相手よりもっと魅力的でもっと自分に熱心な相手が現れないからです。

 

それでも世界的に離婚の確率は4割を超えているのでコストがかかっても
我慢せず離婚を選んだ人が半分に近いとも言えます。最後まで我慢している
夫婦も計算に入れれば、最後まで維持できた幸せな結婚は2割前後だろうと
私は勝手に推測しています。

 

離婚において成功した人と普通の人との違いは成功前後の環境の違いにあります。
凡人の彼あるいは彼女は成功した後に急速にカリスマや特殊な存在になって
いくのです。特に成功者の周りでは人材の流動性が高く凡人時代の彼や彼女を
知らない人がどんどん増えて行きます。

 

気がつけば成功者は徐々にみんなの注目と羨望の的になります。彼らを褒める
言葉と尊敬の眼差しに次第に慣れていくのです。正直、成功したのに羨望の
眼差しや褒める言葉を心の底から拒否する人はいません。なぜならばそれこそが
成功したい重要な理由の一つだからです。成功していない人もそのような眼差し
と言葉を喜ぶはずです。ただ成功していないから手に入らないだけだからです。

 

ところが、成功した彼や彼女が家に戻ると別世界が待っています。成功の事実
を知っていても凡人の彼や彼女を知っている相手にとって、成功以外は何一つ
変わっていないのです。相変わらず排泄し、体の欠点を晒し出し、些細なことで
イライラする凡人の姿です。成功するまでの彼や彼女を支えた自負(本当は普通
にしてきただけの場合が殆どですが)と、彼や彼女を見付けた自慢が混ざり合って、
凡人以下に見える相手にはとても尊敬や羨望もできません。

 

人によってはこんなしょうもない凡人も成功できるならば私がやればもっと
成功できるはずだと思う人もいるでしょう。

 

北海道の岩やコンクリートは本州より何倍も早く壊れます。理由は冬の寒さです。
寒い外気に触れる側面は零下20度にもなりますが、奥にある側面は暖かいのです。
温度差が大きいほど、物質は歪みが大きくなり、壊れやすくなるのです。実は
人間の心もこの物質に例えられます。成功前から結婚している相手から受ける
昔のままの態度と、成功後の環境下でその他の人達から受ける態度の温度差が
大きくなればなるほど、成功者の心に歪みが生じるのです。放置した場合、
やがて耐えられなくて破綻するのがむしろ普通でしょう。

 

成功すると昔の相手に飽きてより美しくより若い相手が見付かると思いがち
ですが、決してそれだけではありません。年齢と外見で大差のない相手と
再婚した人はたくさんいます。離婚につながった最大の理由は旧相手側から
見えない中と外の態度の違いです。

 

実は同じ心理は同僚や部下が社長になった時も起きます。
「何偉そうに言ってる。昔あいつだって同じドジを踏んだ。」

 

「○○君は俺の三つ年下だよ。あいつの新人教育は俺が担当した。
しかし、社長になるとは思わなかったな。」

 

「あいつが社長になったのは単なる運だよ。上に好かれているだけだよ。」

 

どうですか?あなたはこんな話を聞いたこと、言ったことがありませんか?
実はこれらの話は外れている訳ではなく全部当たっているのです。しかし、
このような話をする人は間違いなく社長と同じ、あるいはもっと長く会社に
居ながら、出世できない人々です。社歴の短い社員(年齢と関係なく)には
決して思い付かない文句です。

 

出世できないのは悪くありませんが、出世できないのにずっと居座って出世した
仲間や後輩の悪口を言うのが悪いのです。そんな態度をついついとるから
若手の社長や上司にとって離婚したい相手になるのです。
まあ、会社の場合は社長が我慢するしかありませんが。

 

どうですか?
今日は単なる成功者の再婚率の話だけではないことに気付きましたか?



(終わり)