製薬・医療機器

日本光電  導入事例

上海光电医用电子仪器有限公司(日本光電) 様

 

eSMで営業部門とサービス部門の顧客情報を一元管理


医療機器大手の日本光電工業株式会社が、中国ビジネスを加速させている。


同社は1990年に上海に製造拠点「上海光電医用電子儀器有限公司」を設立し、商社を通じて心電計の中国国内での販売を開始する。低価格帯の普及品だったため、中国市場でも広く知られることとなった。


中国市場をさらに強化しようと、08年には「尼虹光電貿易(上海)有限公司」を設立。生体情報モニター、脳波計、心電計、心臓除細動器、検体検査機器という5つの柱に加え、昨年からはAED(自動体外式除細動器)の販売も開始した。


心電計は中国で20年以上の実績があるため、かなりのシェアを占めている。現地生産によるローエンド・ミドルエンド向け製品を普及させる一方で、ハイエンド向けには輸入品を販売。2010年の税関の統計によると、同社の心電計は「全輸入量の36%を占めた」(王澤民総経理)という。


他の製品についてもシェアを拡大させようと、同社はeSMの導入を決断した。その狙いについて、同社の王総経理と矢持均副総経理に話を聞いた。

 

     


―まずは、中国戦略について教えてください。

 

王  90年から販売している心電計は、現地生産による低価格と日本の品質とのバランスが市場に合っていたため、これまで多くのユーザーにお使いいただいています。

 

一方で、ハイエンドの製品をお求めになるお客さまも確実に増えています。その流れが顕著になったのは、6年くらい前からでしょう。各地で大型病院が増えたからです。心電計は20年以上に及ぶ実績ですでにブランディングができていたので、ハイエンド製品もその延長ですんなり受け入れられました。国内生産によるローエンド、輸入によるミドル・ハイエンド。平行して製品を展開するのが我々の戦略です。

 

他の製品についてもある程度同じことが言えます。生体情報モニターは、ミドルからハイエンド向け。脳波計は、技術的要求が高いのでハイエンド向けが主ですが、近年増加している精神疾患向けにミドル製品も投入しています。いずれの製品・価格帯についても、品質がよく、壊れにくいのが当社の強みです。

 

―昨年、eSMの導入を決定されましたが、その理由はなんでしょうか?

 

王  営業面について言えば、eSMには大きくふたつを期待しています。代理店・ユーザー情報の管理と商談の進捗状況の把握です。最近では上海だけでなく、ほかの地域からの引き合いも増えています。自然と営業マンは出張が多くなる。そうした状況のなか、どう情報を集め、共有化していくかが課題でした。この我々の要求にいちばん近かったのが、eSMだったんです。

 

矢持  サービス部門に関しては、実は他のシステムの導入を検討していました。ところがサーバーを買おうという段階で、eSMのお話が。営業システムだけどサービス管理でも使えると聞き、考え直すことにしました。

 

サービス業務は修理がメインですが、現在は実務担当者が8名しかいない(今期倍増予定)ので、多くを代理店に委ねており、代理店サービス部への部品供給、技術教育も大切な業務となっています。その結果、エンドユーザーや代理店との設定を持つので、その情報に営業との互換性がないのはもったいないですし、サービス員も増えていきますので、会社としての情報共有、営業の顧客情報とサービスの顧客情報を一元化するのにいいと思い、eSMの採用に踏み切りました。

 

サーバーや専任スタッフ、メンテナンスが必要ないというのも魅力的でしたね。それにアカウント1つに対する課金なので、コスト計算もしやすい。使わなければ自分たちが損をするだけ(笑)。そういうプレッシャーを与えながら活用していきます。

 

     

―まだ導入したばかりですが、実際にお使いになってみていかがですか?

 

矢持  eSMのいいところは、1つのデータを共有しながらも、日本人がログインしたら日本語、中国人がログインしたら中国語と、言語を分けられる点です。同じデータベースなのに、サービスでログインするとサービスの、営業でログインすると営業のインターフェースになるという、切り替えができるのもいいですね。

 

サービス部門の者が営業と同じデータに触るということは、自分のミスが営業にも影響するということでもあります。それが数千万、数億という損失を生み出す可能性も秘めているので、これまで以上に真剣に業務に取り組んでくれるのではないかと期待しています。

 

―今後、どのように活用していきたいですか。

 

矢持  修理対応する際に、相手の身元が不明ということがたまにあります。しかしユーザーが困っている以上、部品を供給しないわけにはいきません。eSMを活用することで、最終ユーザーをきちんと把握していきたいです。たとえばAEDは、バッテリーやパッドに使用期限があります。製品の正常な動作を保証するためにも、納入情報をきちんと管理していかなければなりません。

 

エクセルで管理していたときは、故障や消耗品の交換などが発生した案件のみをデータ化していました。eSMでは、まず先ににすべての顧客をデータ化します。いちばんの理想は、病院をクリックすれば納品されている製品情報(修理履歴等)がすべてわかるという状態です。

 

―今後の展開について教えてください。

 

王   11年の売上高は前年比25%増でしたが、今年は前年比36%増を目指しています。eSMを活用し、ぜひこれを実現していきたいですね。第12次5ヵ年計画で、国民の医療や健康に力を入れる方針が示されたことも追い風です。この目標を達成するため、AEDの普及。

 

心電計等と医療情報システム(HIS)接続できる製品の拡充に特に力を入れます。中国でも近年、心臓麻痺で亡くなる方が増えているので、医療機関だけでなく、日本のように公共の場にもAEDを置けるようにしたいです。HISとの製品接続に関しても、衛生部が医療情報のシステム化を重視しているので、今後が期待できる分野です。こうして少しでも中国の皆さんの健康に貢献していけたらと思っています。

     

 

City bros 2012年2月掲載
ご所属・お役職はインタビュー当時のものです。

 

※2012年7月に上海光电医用电子仪器有限公司を存続会社として、上海光电医用电子仪器有限公司、美荻特光电医疗软件上海有限公司および尼虹光电贸易(上海)有限公司3社は合併されました。

 

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