電機・精密機器

コニカミノルタ中国 導入事例

柯尼卡美能達(中国)投資有限公司 SE営業本部 様

 

eSM導入から1年 見えてきた成果と今後の期待

 

イメージング領域で必要不可欠な存在であることを目指し、光技術を生かした製品、光を測る技術を生かした製品を開発から販売・サービスまでを行っているコニカミノルタホールディングス。複写機・複合機、プロダクションプリントを中心に、計測機器、医療機器、光学デバイス部品など事業展開は多岐に渡る。

 

その中、中国での計測機器事業を担う「柯尼卡美能達(中国)投資有限公司SE営業本部」は、昨年9月に「eセールスマネージャーRemix(eSM)」を導入。昨年12月号の本コーナーにも登場したが、この1年で改善された点について、張偉賢董事と岡村貴浩・業務計画経理に話を聞いた。

 

      

   

eSMにより競合分析と顧客データの活用が可能に


――1年前と比べて、現在の中国の市況には、どのような変化が見られますか?

 

张  この1年で、市場は大きく変化しました。昨年こそ弊社の売上高は前年比60%増でしたが、今年は市場構造の変化が起きていると感じています。積極投資の業界とそうでない業界、その違いが以前にもまして顕著になってきていると感じています。

 

こうした状況下でも、ブランド認知度を上げ、製品をより良くしていくのが当社の方針ですが、そのためには、今後はアフターサービスの更なる充実も重要なカギとなるでしょう。

 

――eSMの本格稼動から1年間が経過しましたが、この間の成果をどのように捉えていますか?

 

张  二つの重要な点があります。競合情報の共有と顧客情報の活用です。システムによる華南、中西部、華北といった各地域の情報共有は、営業マン一人ひとりにとって役立ちます。顧客訪問情報をeSMに入力しておけば、同じ属性の顧客を訪問する際、どうすればうまくいくかを分析することが可能です。データ分析を通じ、お客さまがなぜ競合ではなく当社の製品を選んだのかを理解することもできます。成功事例の分析は、営業マンにとってとても大きな力となります。情報の共有が最大の成果につながります。

 

管理面についても効果が表れています。以前は、完全には情報共有ができていませんでしたが、現在は、システムを通じて完全に「見える化」できるようになったと言っていいでしょう。

 

   

――今後、eSMに対して期待していることをお聞かせください。

 

张  一つにはデータの蓄積。これはいわば、「会社」の重要な資産となります。

 

そしてそのデータを基に、半年間、1年間、3年間など期間ごとの分析。さらに地域、業界、市場予測や製品分析・チャネル分析への活用などです。そのためにも、今はとにかく更なるデータ収集が必要です。蓄積されたデータの分析は、市場での競争力アップのツールの一つとして効果を発揮するはずです。

 

名刺情報データ化と電話調査という新たな提案

 

――岡村さんが率いるeSM推進チームの方々とは、毎月アフターコンサル定例会を行ってきましたが、eSM稼動後の取組みの成果について、率直なご意見を聞かせてください。

 

岡村  定着までにはもっと時間を要すると思っていたのですが、思っていたよりも早く定着し、業務プロセスの中で使われはじめていると感じています。その要因は何かを考えてみると、二つあります。一つは、各地マネージャー達の意識改革よるところが大きいでしょう。営業マンの立場からすれば最初は受動的になってしまいがちなデータ入力作業ですが(指導してもなかなか動かないということがあるのですが)、各地マネージャーが、「eSMを活用することが、会社の中の必須業務の一つである」「このデータが彼らの業務にどのように役に立つ」また「本社側とのやり取りの中でデータがどう生かされ、結果的に自分たちの業務に関連してくるのか」などをしっかり理解し、咀嚼して部下にしっかりと説明させていることが定着してきた背景だと思います。それをマネジャーに理解してもらうプロセスではソフトブレーンさんにも色々ご協力を頂きました。

 

もう一つは、先に申し上げたプロセスを経た上で、営業マンの受動的な姿勢を自主的な姿勢へ転換するために、入力することで、自分たちが「こういう風に活用できるんだ!」という気付きを沢山与えることを心がけているからでしょう。「こういうことがしたい」という意見がセールスマンから出れば、それが出来るようにソフトブレーンさんのご協力を仰ぎながら対応するようにしているので、そのあたりの対応が着実に営業マンの浸透につながっていると思います。

 

具体的な話をすると、案件の初回お問い合わせがあってからどれくらい時間が経っているかを、営業マンによっては定量的に把握していない場合があります。eSMの機能で、ある一定の期間が過ぎたら自動で警告が出るようにすることで、彼らもフォローしなければいけない優先順位をさらに具体的にたてられるようになってきたと感じています。

 

――eSMを導入後、営業現場にはどのような変化が見られますか?

 

岡村   マネージャーと営業マンが、eSMのデータを基に案件について話し合うことが定着してきましたので、日々ちゃんとデータをアップデートしないといけないという意識が出てきていると思います。それまでは、忘れていた案件、思い出した案件だけを追求することが多かったんですけど、マネージャーが常に管理するようになりました。また、各営業マンに引き合いがどれくらいあるのかが定量的に見れるようになり、その傾向をみて、売上達成の為の的確なアドバイスをマネジャーが部下にできるようになったと思います。

 

当社は、売上の管理はもちろんですが、プロセスの管理も重視しています。たとえば各人の与えられた売上予算を達成するために、どれくらい引き合いが必要なのか、もしくはセミナーを何回実施すれは必要な数の引き合いが取れるかなどです。そういうプロセスの目標も設定していますが、その状況をeSMによって定量的に見られるようになってきています。それがマネージャーから部下へのフィードバックにつながっています。

 

代理店の管理に関しても、eSMのデータは活用されており主要代理店との毎月の定例会議時の際にもeSMの分析データを活用するようになりました。それにより代理店との状況把握の共有が容易になり、アクションの加速が実現できたと感じています。

 

――前回のインタビューで、eSMを日本本社側との情報連携ツールとしても活用したいとおっしゃっていましたが、eSMの利用を促進するという目的も兼ねて、本社と情報共有するためのOrderForecast(発注予測)レポートを設計し運用を開始されました。

 

岡村  我々の製品は、モノによっては受注してから手配をしてたら納期が長くかかるモノも多くあります。しかし、そういった見込みを日本側にしっかり伝えていければ、タイムリーに必要なときにモノを入手できるようになります。逆にそれを日本側に共有していないと、納期が長くかかってしまうこともあるので、マネージャーもそれを理解しきちんと見込みを把握し、共有することが大切です。この点、Order Forecastのモジュールを入れることによって、見込み確認の精度が上がってきていると思います。

 

――当社のご提案で、展示会来場者の名刺情報データ化や既存顧客に対する電話調査など新しい取り組みもはじめました。

 

岡村  既存顧客様への電話調査は思っていた以上の効果で、約40件のうち40%が何らかのフォローが必要という結果を得ることが出来ました。今回調査をやっていただいたのは、どちらかというとエントリーモデル利用者さま向けの調査でしたが、将来的には上位機種をご導入していただくというところにもつなげていくために、お客さまの最新情報を常にアップデートし、必要なときに最適な情報をご提供できるようにしていきたいですね。

 

(聞き手/ソフトブレーンチャイナ・藤戸祥乃アフターコンサルティング部部長、謝琼アフターコンサルティング高級経理、秦学アフターコンサルティング担当)

 

2012年City bros 11月号掲載
ご所属・お役職はインタビュー当時のものです。

 

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